2016年9月25日日曜日

赤ちゃんにやさしい気持ちでいるには?

ママのための子育て情報WEBマガジン「ママスタセレクト」に記事を掲載していただきました。

初めての赤ちゃんに疲労困憊、当時の私に私に渡したいもの

私の子どもたちはもう学校に通うくらい大きくなりましたが、子どもがまだ小さな赤ちゃんだった時のこと、特に初めての子どもが産まれたばかりの時のことを思い出すと、


なんであんなに大変だったんだろう、


とちょっと気恥ずかしくなるくらいに、当時の大変さがよみがえってきます。


「赤ちゃんの世話はこうしないとダメ!」

というような思い込みもたくさんありましたし、
自分が母親なんだから!」
という責任感もすごく強かったと思います。

一生懸命過ぎて、とても疲れていました。実際に、当時の私だけでなく、本当に一生懸命なお母さんはたくさんいると思います。


初めてだから、私自身、なかなか気が付くのは難しかったのですが、もう少しゆっくり、余裕をもっていられたら、初めての赤ちゃんとの生活がもっと楽しいものになっていたのではないかと思います。


時には人に頼ったり、助けてもらうことのありがたさも、子どもが産まれてから本当に理解できたような気がします。助けてもらうと、自分も人にやさしくできるようになりました。


そのことがわかるまでに私は時間がかかりましたが、これから赤ちゃんを産む人や今赤ちゃんと一緒のお母さんにはもっと肩の力を抜いて、やさしい気持ちで、今の時間を楽しんでほしいと思います。

赤ちゃんだって自分とは違うひとりの人間、思った通りにならないのが当たり前、そういうことも含めて、赤ちゃんとの生活を大切にしてほしいです。



野口由美子

2016年9月20日火曜日

東京新聞で当ブログが紹介

こんにちは。野口由美子です。いつも当ブログをご覧いただきありがとうございます。

今回は東京新聞朝刊(神奈川版)で、当ブログを紹介していただきました。
東京新聞 TOKYO Web (神奈川)でも記事を読むことができます。

<安保関連法成立1年 みんしゅしゅぎって> (上)多数決って正しいの?(2016年9月16日)

かこさとしさんの絵本「こどものとうひょう おとなのせんきょ」を取り上げた私のブログ記事について触れられています。

最近の日本の政治状況と、この絵本を重ねて、「多数派の正義」が横行している、と思われる方がいるかもしれません。でも、問題はそれだけなのかと思います。この絵本の素晴らしいところは、そういう短絡的な話に終始しないところです。手に取っていただけるとわかります。ここで、私たちには「少数でもいい意見」があったのか、ということも考えなくてはならないと思います。もっと議論ができないのか、と。

今回取材していただき、そんなことを考えました。


野口由美子


2016年9月9日金曜日

子どものスイミングに盛大な拍手が沸き起こる日

この夏はオリンピックでの日本人選手の活躍に熱中された方も多いと思いますが、我が家では、もうひとつ、息子の水泳検定試験という大きなイベントがありました。

水泳の検定なんて、一大イベントなの?
と、私も不思議に思っていたのですが、オランダの水泳検定には、親せき、家族総出で応援に来る、とか、子どもにプレゼントを用意してあげる、とか、そんな話を聞きました。オランダの子どもにとっては大切なイベントのようです。

 ディプロマ取得が子どものステータス

オランダは、至る所に運河があり、その景観がきれいなのですが、柵がないので子どもが落ちる事故が起きてもおかしくありません。そのため、運河に落ちても溺れることがないよう、国民皆水泳を目指しています。学校授業で全員がやるわけではないのですが、多くの子どもは、国が定めるディプロマを取るためにせっせとスイミングレッスンに通います。個人差はありますが、5歳くらいから始めて1年程度で取得する子が多いようです。

検定試験は盛大に

検定当日、会場には、本当に家族総出、という感じで応援に来ている人たちであふれていました。

盛大な音楽と共に子どもたちが入場。拍手がわきます。

先生の合図のもと、順番に泳いでいきます。
運河に落ちても大丈夫というサバイバル水泳だけに、最初は着衣水泳。
Tシャツに短パン、靴を履いて、
立ち泳ぎ10
さらに25m泳ぎます。



その後服を脱いで、
飛び込み、3m先のロープをくぐり、平泳ぎ50m、仰向けになって50mなど、
いろいろなことをやるのですが、クロールや背泳ぎをきれいなフォームで!という感じではないところも、また日本との違いを感じました。

服を着ていても、足のつかない深いプールでも、自信満々で泳ぐ子どもたち。応援したり写真を撮ったり熱心な家族。

最後は検定の合格証が手渡されました。音楽が流れる中、全員でプールサイドを1周します。



 会場は大盛り上がりです。



うわさに聞いていた通り、一大イベントでした。

子どもの成長を祝う行事は、日本でもいろいろありますが、こんな派手な水泳検定のお祝いも、なかなかよかったです。うれしそうな、自信をつけた子どもの表情が違いました。もっと子どもを祝ってあげればいいんだな、と思いました。


野口由美子

2016年9月1日木曜日

テレビの中の障害者、子どもはどう思う?

BBCの幼児向けチャンネルに障害者

子どもたちが観ているテレビ、ある時、私は、右腕の肘から先がない女性が出演していることに気づきました。彼女は半袖のシャツを着て、手のない右腕を隠そうともせず、不自由そうなそぶりも全く見せず、他の出演者と同じようにテレビに映っていました。

イギリスに住み始めた時から、私の子どもたちは、シービービーズ(Cbeebies)をよく観ていました。シービービーズというのは、BBCの幼児向け番組のみを放送しているチャンネルです。日本のNHKのEテレに近い感じです。朝の6時から夕方7時まで、毎日放送していて、対象年齢は6歳くらいまで。イギリスの子どもたちにはおなじみのチャンネルです。日本でも、「チャギントン」や「ポストマンパット」など、シービービーズで放送されている番組をご存知の方もいると思います。

その幼児向けチャンネルに障害者が出ています。彼女を初めて見て、私はドキッとしました。内心、戸惑いましたが、テレビの中の彼女は、そんな私の気持ちをよそに、視聴者から送られてきたカードを楽しそうに紹介していました。

子どもたちの様子をちらっと見ました。気が付いていないのか、特に何も言わずに、テレビを観ていました。

なぜ腕のない女性がテレビに?

彼女について興味を持った私は調べてみました。彼女の名前は、ケリー・バーネル。過去には、彼女のテレビ出演が、イギリス国内で大きな議論を巻き起こしたこともわかりました。

2009年にシービービーズで彼女の出演が始まった当初は、
「子どもが怖がって、夢に出ると泣いている。」
「彼女の姿を幼い子どもに見せる必要があるのか。」
と、保護者の苦情が殺到したそうです。

しかしケリー自身の意見は、
「知らないことが偏見につながる。差別になる。私自身が、子どもと一緒に障害について話すきっかけになりたい。」
と、苦情に対して驚きや戸惑いさえも感じていなかったようでした。

苦情や批判を乗り越えて、今も幼児向けチャンネルに出演を続けている彼女のことを、子どもと話さないのはもったいないと思いました。

5歳の娘から見た障害

「ケリーってどう思う?」
私は5歳の娘に聞いてみました。
「好き。だってかわいいから。」
娘はケリーの手がないことに気づいていないのかも、と疑問に思い、私は直接言ってみることにしました。

「ケリーは片方の手がないよね。」
娘ははっとした顔をして、
「そうだあ。」
と、顔が暗くなりました。泣きそうです。
「どうして、ケリーは手がかたっぽないの?」
と娘は私に聞いてきました。

「生まれた時からないんだって。そういう人もいるんだよ。でも、元気だし、他の人と同じようにやっているよね。」
生まれつきの障害であることを知り、ケリーはそれでも元気、ということに安心したようでした。こわばっていた顔がほっとした様子になりました。

新しいことを発見するたびに「なんで?」と聞いてくる、いつもの質問と同じようなやりとりでした。障害のことも、理由が娘なりに納得できれば、そういうものだ、とそのまま受け入れているようでした。


8歳の息子から見た障害

8歳の息子にも聞いてみました。
「ねぇ、ケリーってどう思う?」
「ああ、腕がないの、ちょっと怖い。」
下の子ではなく、上の子が怖いと思っていたことは意外でした。

「じゃあ、もう観たくない?テレビに出てほしくない?」
「うーん。あんまり観たくない。」
そう言った後、少し考え込んでいました。私は息子が何を考えているのかわからず、黙っていました。

一生懸命考えている表情で、息子が口を開きました。
「でも、この人テレビに出られなくなったら、お金もらえなくなって、食べ物も買えなくなるよね?」
「そうだね、テレビに出るために歌や劇の勉強をいっぱいして、今テレビに出るお仕事しているからね。困ると思う。」
「シービービーズに出るのは難しいんだよね?」
「そうだね、テレビに出るお仕事をするために、勉強している人はたくさんいるからね。その中から選ばれなくちゃいけないから、シービービーズに出るのはすごいことだよね。がんばらないとできないね。」
「うん。やっぱりケリーもテレビに出ていいと思う。」
障害があるからという理由で彼女を認めないのは良くない、と自分で気づいたようでした。

子どもに理解させるのは難しい、まだ早い。そんなことはありませんでした。大人が勝手に難しく考えているだけのようでした。



   ケリー・バーネルへのインタビュー
   ”ONE ARM Kid TV Show Host Creates Controversy | Cerrie Burnell & CBeebies | BBC”



野口由美子

2016年8月27日土曜日

あなたは民主主義に向き合っているか、絵本からの問いを受け止める人々

2016年8月、30年ほど前に出版された絵本が復刊されました。
かこさとし しゃかいの本 「こどものとうひょう おとなのせんきょ」 
という絵本です。 



ネット上での反響から復刊へ

絶版となっていたこの絵本は、かこさとしさんという有名な絵本作家の作品でありながら、あまり知られていませんでした。私の息子が学校の図書館からこの絵本を借りてきて、親子で読んだ時のことを書いたブログ記事が広まり、初めて存在を知った方も多かったようです。

・ブログ記事 「投票って何?」ある絵本に驚きの答え  

・朝日新聞デジタル 「みんしゅしゅぎ」って何? ネットで話題、絵本が復刊 (2016年8月23日) 

 しかし、ブログ記事自体は、単なるきっかけに過ぎませんでした。
この本は、少数でもすぐれた考えや案を、狭い利害や自己中心になりやすい多数派が学び、反省する、最も大切な「民主主義の真髄」をとりもどしたいという願いで書いたものです。
そうあとがきに書かれた作者の思いは、人の心を突き抜く強さで伝わっていったのだと思います。「いいね」やツイート、シェアを通じて多くの方から反響をいただいたことが、復刊へとつながりました。 


異色の絵本 

絵本を紹介した私自身は、失礼ながら、この絵本は人気が出なかっただろうと思いました。人気のある絵本というのは、大抵、子ども自身が楽しめるものであり、子どもに読んであげる大人にとっても楽しいものです。 

「この絵本を読んでどう思いましたか。」
 ブログ記事を発表した後、よく聞かれました。私は
 「絵本に追い詰められているようで、つらかった。」
 と、答えています。正直なところ、全く楽しくありませんでした。絵本の中で大人は 
「あなたは、投票を、民主主義を、勘違いしているのではないか。」 
と作者から批判されることになります。絵本を読みながら、批判されている大人を横で見ている子どもも戸惑っていました。しかし、それが始まりで、私も子どもも一緒に真剣に考えていました。


かこさとしさんの作品には楽しくて人気のある絵本がたくさんあります。あえてこのような絵本を作って、真剣な思いをぶつけてきたのです。今だからこそ、その衝撃を、受け止めようとする人が多いのかもしれません。 


世代を超えて読まれる本に 

復刊を手掛けた復刊ドットコムによると、この絵本は児童書や絵本の売り場に置かれるだけでなく、ビジネス書や実用書売り場で扱われることもあるそうです。これは珍しいことです。幅広い人にこの絵本を届けたい、大人にこそ読んでもらいたい、と考える人が書店にもいるのだと思います。 これは単なる子ども向けの本ではありません。大人も若い人も子どもも、多くの人が手に取って、考えてみてほしいと思います。 

かこさとし著 「こどものとうひょう おとなのせんきょ(かこさとし しゃかいの本)」(復刊ドットコム)


野口由美子

2016年8月24日水曜日

朝日新聞夕刊で当ブログが紹介

こんにちは。野口由美子です。当ブログに訪問いただき、ありがとうございます。

朝日新聞夕刊で、当ブログの掲載記事、「投票って何?」ある絵本に驚きの答えを紹介していただきました。

この新聞記事は、かこさとしさんの絵本「こどものとうひょう おとなのせんきょ」の復刊についてのもので、デジタル版ではかこさとしさんの動画メッセージも観ることができます。

ご覧いただけるとうれしいです。よろしくお願いします。

朝日新聞デジタル:「みんしゅしゅぎ」って何? ネットで話題、絵本が復刊(2016年8月23日)


野口由美子

2016年8月20日土曜日

親の介護、子どもの育児、時にはつらいとは言えますか

ママのための子育て情報WEBマガジン「ママスタセレクト」に記事を掲載していただきました。

「育児に介護も、愚痴も言わないでがんばる、は間違い」

ご覧いただけるとうれしいです。

この記事ではダブルケアに触れていますが、実は、私はつい最近までこの言葉を知りませんでした。ダブルケアとは、育児と介護が同時進行している状態です。日本で問題になっているダブルケアについて、オランダではどうやって解決しているのか、記事にしてほしいというのが、編集の方からの依頼でした。

記事を書くにあたって、今住んでいるオランダで介護や育児の問題をどう扱っているか、周囲の人たちに聞いてみました。多くの人は、介護も育児も大変なことがたくさんある、という話をしていました。そして、介護保険や育児支援制度など公的な援助は、かつてよりは削減されている部分も多く、苦労している、ということも聞きました。

オランダでも、介護や育児が社会問題であることには変わりなく、解決策は見つけられていないんだな、とも思ったのですが、大きな考え方の違いも見つけました。

オランダでは、介護や育児をする側が追い詰められることがない、のです。
日本だったら、たとえば赤ちゃんのいる母親が時間なく忙しくしていても、
「母親ってそういうものよ、がんばって!」
と応援されてしまいそうですが、そんな応援はあまりないようです。
「休めばいいじゃない。誰か助けてくれる人はいる?」
と言われます。

そういう環境だったら、介護や育児がつらい時はつらい、と素直に声を上げられるだろうな、とうらやましく思いました。
「つらいって言いにくい、なんて、あなたたち日本の文化の問題ね。自分たちでどうあるべきか考えるべきではないかしら。」
オランダの友人は歯に衣着せぬ、はっきりとした物言いをするので、こんな言い方をしていましたが、その通り、うなずくしかありませんでした。

うらやましがっているだけでは何も変わりません。私たちも、そういう声を聞き合うことから始められるのではないかと思います。もっと自分や周りの人にやさしくなりたい、という思いを込めました。


野口由美子